お役立ちコラム

バルコニーの劣化症状|防水処理は定期的に対処しよう

著者:庄嶋 善則

バルコニーの劣化症状|防水処理は定期的に対処しよう

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外装劣化診断士、代表取締役の庄嶋です!

雨漏りの発生箇所の多くは「屋根」に原因があります。しかし、決して屋根だけに原因があるのではなく、外壁やシーリング、バルコニーなどにも雨漏りが発生する原因が潜んでいるのです。

今回のお役立ちコラムでは「バルコニーの劣化症状」についてご紹介したいと思います。

「バルコニー」からの雨漏りがなぜ発生するのかを知り、適切なメンテナンスを心がけるようにしましょう。

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バルコニーの劣化とは

バルコニーの劣化とは

バルコニーとは、屋根がないベランダのことを指します。ベランダは屋根によって守られているものを指し、バルコニーは守られていません。この屋根の部分を見なければ、どちらも同じ構造だということを理解しておきましょう。

そして、バルコニーの劣化によって雨漏りする原因は以下のようなものが挙げられます。

  • ・床部の防水の劣化
  • ・排水口の詰まり

床部の防水が劣化すると、構造躯体に雨が流れ込んでしまうのです。実は、バルコニーは構造躯体を延長して作った床に、擁壁を立てただけの場所なのです。つまり、室内の延長だと考えてもおかしくないということになります。

そこに防水膜が1枚あるだけで、この膜がダメになれば、当然雨は構造躯体へと流れ込んでしまうということです。

排水口の詰まりは、防水膜にダメージを与えてしまいます。ほんの少しの隙間があれば、大量に溜まった水はその隙間めがけて流れ込もうとするので、一気に防水膜を剥がしてしまうでしょう。

また、防水膜に問題がなければ、そのままサッシまで水が上がってしまうこともあり、窓の隙間から室内に水が流れ込んでしまうこともあるのです。

ここまでの中で、バルコニーの劣化となる部分は「防水膜」になります。防水膜の劣化がバルコニーの劣化だと覚えておきましょう。

代表的な劣化症状

代表的な劣化症状

バルコニーの防水に見られる代表的な劣化症状は以下の通りです。

  • ・ひび割れ
  • ・塗膜剥がれ
  • ・塗膜浮き
  • ・水が溜まる
  • ・バルコニー下の雨染み
  • ・苔やカビの発生

それぞれの問題について見ていきましょう。

ひび割れ

バルコニーの防水膜にひび割れが発生するということは、すでに防水膜が寿命を迎えている証拠です。バリバリと表面が向けてしまうような状態であれば、確実に内部に水が入り込んでいるでしょう。

防水膜がひび割れる原因は「経年劣化」です。突然ひび割れるということはまずありません。ひび割れが発生しているのを確認したら、できるだけ早く防水工事を依頼するようにしましょう。

塗膜剥がれ

防水膜のひび割れを放置していると、パックリと割れてしまいます。そして、吸湿と乾燥を繰り返しながら、塗膜が剥がれてしまうのです。

素膜が剥がれると、そこには多くの場合コンクリートの床が出現します。コンクリート自体は水を吸い込んでしまうため、そのまま構造躯体に水が流れ込んでしまい、柱を腐食させることとなってしまうのです。

このような状況にならないためにも、ひび割れの段階で防水工事を進めるようにしましょう、

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塗膜浮き

防水膜に見えないような穴が空いてしまった場合、そこから水が入り込むことで塗膜の下にドーム型の空間ができてしまうことがあります。部分的な塗膜の剥がれで、小さいうちはなかなか気づきません。しかし、時間が経つにつれて入り込む水の量が増え、塗膜の浮いている部分が広がっていってしまうのです。

当然、内部に入った水は構造躯体に流れ込んでいます。つまり、柱が腐食していくということです。

これら「柱の腐食」が大きな問題だと言っているのは、最悪の場合「バルコニーが落ちる」という状態になってしまうからなのです。バルコニーを支えている柱部分が腐食すれば、重量物であるバルコニーは落下します。

その時、下にあるもの、下にいる人は大きな被害を受けることとなるでしょう。そのため、防水工事は非常に重要だということを理解しておいてください。

水が溜まる

防水膜が正しく機能しているからこそ水は溜まるのですが、そもそも「水が溜まる状態」がおかしいということに気づかなければなりません。本来、バルコニーは完全な平面ではなく、排水口に向かって緩やかな傾斜がつけられているものです。そのため、排水口が詰まっていない限り水が溜まるわけがないのです。

しかし、排水口の詰まりがなく、バルコニーに水たまりができてしまうということは、その時点で「防水膜の変形」が発生していることがわかります。防水膜そのものが変形するというよりも、床部が変形していると考えて良いでしょう。最悪な場合、すでに内部の腐食が進んでいる可能性もあります。

このような症状が発生しているときは、すぐに業者を呼んで診断してもらってください。

バルコニー下の雨染み

「表面的なバルコニーの劣化が確認できないから問題がない」と安心するのはまだ早いです。実は、バルコニーの裏側に問題が現れている場合があるのです。

本来、バルコニーの下側は水が吹きかける部分ではありません。バルコニー自体が屋根の役割をするので、真下の外壁部分は常に乾いているのが正常なのです。しかし、防水が適切に機能していない場合、内部に水が流れ込んでしまいます。

その流れ込んだ水が、バルコニー下の外壁に流れ出してしまうと、外壁に雨染みのような模様が浮かび上がってしまうのです。

基本的に、バルコニー下の外壁は砂埃が多く付着している場所なので、そこに水が流れるとすぐに汚れとなって目立ってしまいます。そのような模様ができるということは、バルコニーの防水が機能していないことを表しているのです。

すぐに業者に相談してください。

苔やカビの発生

バルコニーの防水膜に苔が生えてしまった場合、防水膜に水たまりができているのと同じ状況だということを理解しておきましょう。また、表面に黒い点が発生しているようであれば、それはカビが生えています。

問題なのは防水膜の表面だけではありません。表面に症状が確認できるということは、防水膜の裏側にもそれ以上の被害が発生している場合が非常に多いのです。コンクリート部分にカビが大量発生してしまうと、コンクリートを劣化させ、床部がダメになってしまうのです。

非常に危険な状態なので、苔は洗い流して終わりではなく、しっかりと業者による診断を受けるようにしましょう。

バルコニーの防水工事

バルコニーの防水工事

バルコニーの防水工事についてご紹介します。一般住宅の場合、バルコニー部分に重量を増やすわけにはいきません。つまり、陸屋根に対して行う防水工事は一部利用できないということになります。

そのため、バルコニーの防水工事では、一般的に「シート防水」と「塗膜防水」を採用することが多いです。中でも効果が高いのが「FRP防水工法」と「ウレタン塗膜防水工法」という2種類です。

それぞれをご紹介しましょう。

FRP防水工法

FRP防水工法とは、ガラス繊維のシートを樹脂を使用して塗り固めていき、防水層を形成する工法になります。建物以外では「船舶」などもFRP防水で船底の加工等を行うことからも、非常に高い防水性を持っていることがわかる工法です。

FRPシートはハサミで簡単に加工できる上に、曲げることも容易なので、建物の形状に合わせて使用することができます。しかも、樹脂で固めるまでは柔らかい状態なので、加工に力がいるということもありません。

最近の建売住宅等の新築のベランダは、基本的にFRP防水工法で施行されています。

ただし、適切な防水工事をするためには古い防水層を取り除く必要があるため、工事期間が長くなってしまうのも覚えておいてください。

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ウレタン塗膜防水工法

リフォームで防水工事をする場合、基本的には塗膜防水工法を用いられることが多いです。しっかりと密着させて防水膜を形成するために一度完全に洗浄し、液体状のウレタン防水樹脂を塗装することで新たな防水膜を形成するのです。

ウレタン塗膜防水工法は、一般的に5年ごとのトップコート施工が必要であり、寿命が短いのが特徴になります。ただし、施工費用が安いので、定期的に防水工事を行ったとしても負担は軽く済むのでご安心ください。

ウレタン塗膜防水工法は、施工する職人の技術が非常に重要です。均一な厚みに塗ることで安定した防水膜が作り出されるため、波があったり施工不良があると十分な効果を期待できない場合があることを覚えておいてください。

バルコニー向きじゃない工事方法

バルコニー向きじゃない工事方法

陸屋根等に用いられる防水工法は、バルコニーにはあまり適していません。一般的に「シート防水」と「アスファルト防水」が陸屋根に用いられるのですが、それぞれに得意とする場面があるのです。

シート防水は、広大な面積を短期間で施工することを得意とした防水工法になります。そのため、バルコニーのように狭い場所は得意としていません。また、凹凸にも対応しきれないことが多く、住宅の外壁のように隣接した部屋との動線に雨樋や衝立、外壁の凹凸がある場合には適切な工事ができないのです。

また、アスファルト防水は非常に優れた防水層を作り出すことができる一方、重量鉄骨のように堅牢な構造躯体を必要とするほど重さがある防水工法になるため、住宅のバルコニーには適していません。

バルコニーの雨漏り対策はおうちのかかりつけ医OHANAへご相談ください

バルコニーの雨漏り対策はおうちのかかりつけ医OHANAへご相談ください

バルコニーの防水症状が見え始めたら、早めの対応が重要です。バルコニーの防水不良は、ただ不快な水たまりを引き起こすだけでなく、建物の構造躯体にも深刻なダメージを与える可能性があります。ですから、初期の段階での対処が建物の寿命を左右すると言っても過言ではありません。

防水症状の兆候には、塗膜のひび割れ、剥がれ、またはバルコニー下の雨染みが含まれます。これらの症状を見つけたら、すぐに専門の業者に防水工事を依頼することをお勧めします。定期的なメンテナンスと適切な防水工事が、最も効果的な解決策です。

さらに、雨漏りが既に発生している場合は、その原因を特定するための雨漏り診断を受けることが賢明です。弊社「おうちのかかりつけ医OHANA」では、専門の技術者がバルコニーの状態を詳細に診断し、最適な修繕策を提案します。

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